野村證券 第2事業法人部を読んで知ったヤバイ会社

最近、図書館で借りて読んでるんですが、おもしろいです。

 

若干、ネタバレも含みますので、ご理解のほどよろしくお願いします。

 

 

野村證券第2事業法人部

野村證券第2事業法人部

 

 

野村證券の元従業員による、のし上がるまでの軌跡と、その後、オリンパス粉飾事件に巻き込まれる様を綴った、いわゆる暴露本です。

 

 

本文より引用↓

パワハラという言葉など、まだ影も形もなかった時代だ。

応接室の前を通りかかると、ノルマを果たせない課長代理を上司が怒鳴りつけているが見えた。

 

課長代理の横には彼の奥さんが座っていた。

 

「こいつのために、みんなが迷惑しているんです。奥さん、どうにかしてください」

 

なんだか見てはいけないものを見てしまった気がした。

 

これは80年代の話ですが、野村證券の営業ノルマは相当厳しいらしく、それを達成できなければ、上記のような叱責を受けるのが通例だったようです。

 

今では考えられないですね・・・。

 

ただ、某電◯社もそうですが、こういう歴史ある会社って、そう簡単に体質が変わるわけないので、いまだにこの精神が受け継がれていると推察します。

 

だって、80年代にこの過酷な競争から生き残った奴が上層部に行ってるわけですから・・・。

 

人は過去の成功体験は捨てられないのです。

 

 

読み進めていくと、80年代の野村證券は、もう、ほとんど詐欺行為の応酬です。

 

株価の操作

某会社の株価を不正に釣り上げて、高くなったところで全部売る。

 

当時は、こういう行為を取り締まる法律がなかったようで、高く釣り上げて、みんながそれに飛びついて来たところに罠を張っていたみたいです。

 

更に酷いのが、自社の優良顧客(主に大会社)については、その旨を事前に知らせておき、儲けさせていたとのこと。

 

高値になった株の売り先は、地方の弱小顧客だったようで、そのシナリオを分かってて売る営業はホントに辛かったと書かれています。

 

顧客の郵便物を破棄

証券会社は定期的に、顧客に損益の報告書を送ります。

 

当時はインターネットがないので、顧客としては、その手紙を読んで、自分の購入した株について損したか得したかを知るような状況でした。

 

損をしたら当然、怒る人もいるわけで、それで大口の契約者との取引が終わってしまうことも多々あったようです。

 

 

そこで考え出されたのが、

 

顧客の玄関先に張り込み、郵便屋が来たら家のものを装い郵便物を受け取り、野村證券からの手紙を破棄するという方法。

 

 

もう、犯罪以外の何物でもないですね(笑)

 

 

やっぱり、一部の顧客にはバレてしまうんですが、そういうときは顧客に対して

 

「いや、報告書みたら怒って解約するとか言うじゃないですか。そんな一時の価格変動でワーワー言っても仕方がないから、先回りして捨ててあげたんですよ」

 

 

ああ、そうか。

 

と、大抵、納得してもらえたそうです。

 

客も客だな、これ(笑)

 

 

 

著者の横尾氏はオリンパス粉飾決算事件に巻き込まれて、現在は裁判中とのこと。

本の中では、自身は事件の関与について、一切を否定しています。

 

野村證券在籍時は、「コミッションの鬼」と呼ばれるくらい、会社に貢献をした方のようです。

 

彼が有罪なのか、無罪なのか、真実はわかりませんが、会社に対して、身を粉にして貢献したのに、こんな仕打ちを受けているのは同情も感じられるところでありました。

 

 

まあ、こういう、歴史ある大会社も、昔は詐欺や犯罪をやっていたわけで、そんな精神を受け継いだ上の世代が生きている以上は、まだまだ、日本の労働環境は改善しないのかもしれませんね。